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包括的診療報酬制度と医療経済と癌治療 [医療制度]

包括的診療報酬制度(DPC)とは?

DPC(Diagnosis Procedure Combination)とは、日本語で包括的診療報酬制度と訳されている
この制度は,急性期入院医療の診断群分類に基づく一日当たりの包括評価制度で,アメリカで行われているDRG(Diagnosis Related Group)を日本流にアレンジしたものと解釈できる

すなわち、ある診断名で入院した場合、どのような治療がおこなわれても、一日あたりの入院費用が同じと言う制度
一日の入院費用は、病名に応じて異なり、手術はこの包括料金に含まれず別に請求される

従って、これまで治療が長引いたり、うまくいかなかった場合は治療費も高額となっていたが、順調に治療が行われれば、医療費も安くて済む
極論すれば、これまでは、下手な治療ほど治療費がかさんで病院の収益は多く、治療が上手なところは収益が少ないという矛盾があったが、この制度の導入により、順調に治療が行われるほど、余分な材料費がかからないため病院収益は上がる。

このように良い面もあるのだが................

DPCとがん化学療法

DPCによって、がん化学療法(抗癌剤治療)のありかたが変わってきている
DPCでは、がん化学療法の入院費は非常に安く設定されており、患者さんが入院で化学療法を選択されると薬代の収入もなく、治療を行えば行うほど赤字になる
当然、病院側はそのようなことを行うはずはなく、入院での化学療法は行わない
秋田でも、これまでは特定機能病院(大学病院)だけがDPC方式の導入がなされていた
しかし、7月から秋田市内2病院でDPC方式が導入
この2病院では当然、入院での化学療法は行わない

さて、外来化学療法と入院化学療法の違いは、単に治療の場が異なるだけではない!
入院治療の場合は、高額医療制度のため、秋田市では自己負担金は月6万円を限度とされ、それ以上の支払いはない
しかし、外来治療の場合はこの制度が適応されないため、1~3割負担となる
わたくしが多く担当している大腸癌化学療法の場合、週2回の化学療法で1ヶ月の費用は100万円弱
入院で行っていた患者さんは月6万円であったのが、月10~30万円の負担となる
外来治療でも、高額医療では医療費還付があるが、3ヶ月後
であるから、3ヶ月分の医療費が手元にないと抗癌剤治療はできない
3か月分、約100万円
当然、健康時と同じようには働く事は困難と思われるので、これに生活費が上乗せされる
みなさん大丈夫でしょうか?

秋田市内で7月からDPC導入した病院で、入院化学療法を行っていた方々が、7月から外来化学療法を行っている
事前に十分、費用のことが説明されていなかったため、外来清算時にトラブルになっているらしい

日本の医療制度は徐々にアメリカの医療制度に近づきつつある
マイケル・ムーア「シッコ sicko」にあったアメリカ医療崩壊は日本にも押し寄せてくる

日本の医療は予算(予算削減)が先に決められて方針が決定されている したがって、医師数を増やそうとしても、予算が減額されていれば医療が改善されるはずはない まだこのことに気づいていない国民は少なくない
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コメント 2

madwax

はじめまして
包括的診療報酬制度を調べていて辿りつきました。

先月、父(74歳)が札幌市内の病院に入院しました。

それまで、札幌から車で1時間ほどの地元の市立病院と個人病院で
別の病気の治療のため通院していました。
地元と札幌を公共交通機関で行き来するには、体力的に無理なので入院。

入院した病院の先生も、地元で打っていた注射や投薬も可能です
と言っていたのに
後日、地元の病院で行っていなた注射、投薬は、入院した病院で行えないから
地元の病院に行ってくださいと言われてビックリ。

私が、会社を休んで連れて行きました。

体力も衰えている高齢者が、
あちこちの病院に自力で通うのは難しいですよね?
病気の関連性もあると思うし
ひとつの病院で総合的に治療してもらう方が良いと思うのですが・・・

真逆の制度が進行していたことを知り驚きました。
by madwax (2008-08-03 14:58) 

HIDE

もともと、医療機関は経済的に利潤がでないような報酬制度になっており、昨年までは、万一利潤が出たとしても、貯蓄することさえ許されませんでした
そこを、補助金などで補填して運営されていたのが現状ではないでしょうか
そういった状態で、さらに予算を削る政策になったので、病院が廃業になってしまうのは仕方ないのだと思います

おっしゃるとおり、ひとりの患者さんをひとつの施設でみることが、患者さんにとっても、経済的にも正しいことと思います

後期高齢者制度では、患者さんにとっては、支払い上限が決められて医療が行われていく政策でよいことと考えるかも知れません
しかし、病院側からすれば、収入上限が決められるため、治療すればするほど支出が増えます
なので、医療内容が制限されてゆくだろうことは容易に考えられます

現時点で、国が国民にやりなさいと問いかけているのは、
今うけている治療が、本当に有効な治療なのか、
本当に必要な治療なのか考えて医療費抑制に協力してくださいと言うことなのでしょう

お父様の場合は、どちらかの病院で、本当に必要な治療法を再検討していただいてはいかがでしょうか
現在の日本で、経済的な理由を除けば、特定の病院でしか行えない投薬や注射はありえないと思います



by HIDE (2008-08-03 18:50) 

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